■臨床研修後、直接美容医療界へ――若手医師が流出 朝日新聞 時々刻々より
美容医療のトラブルが相次ぐ一方、医療界では、医師不足にもかかわらず、美容医療に進む若手医師が増えている人材流出の問題に直面している。今や、診療所(クリニック)に勤務する美容外科医の半数は、20〜30代の医師だ。
「美容業界はいずれ飽和すると思い、ここまで人数が増えるとは思わなかった」。日本形成外科学会理事長の慶応大教授はこう話す。特に想定外だったのが、「直美(ちょくび)」の増加だ。
直美とは、医学部を卒業し、2年間の臨床研修を終えて間もない駆け出しの医師が、美容医療に進むことを指す。
開業医が主に所属する日本美容外科学会(JSAS)の資料によると、2014年に400人弱だった正会員数は、24年に1600人を超した。最近では新規入会者の3人に1人が直美だ。
入局後数カ月で慶応大の医局を辞め、堂々と経歴に「慶応大学で研修」などと書く美容外科医も少数ながらおり、「肩書に利用されている」となげく。
形成外科は、傷の修復やがん治療後の乳房再建、上のまぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂の治療などをするため、美容外科手術の基盤となっている。
「本当に安全安心の美容外科を行いたいなら、形成外科の専門医を取得する必要がある。どうやって傷が治るのか、どのように皮膚に栄養が届くのか、原理を知らないと合併症を起こす。合併症やその対応については、本だけ読んで身につくものではない」と指摘するが、風向きが変わる様子はない。
1989年に共立美容外科を開業した久次米秋人理事長は「美容外科のステータスはすごい低かった」と振り返る。
状況が変わり始めたのは20年ほど前だ。手軽に二重まぶたにできるようになり、レーザー脱毛や美容成分の注射といった施術が登場し、外科の経験がない医師も参入しやすくなった。「プチ整形」という言葉も広がり、今ではSNSで美容医療を受けたことを明かす人も増えている。
直美の急増は、膨れあがる美容医療の需要が背景にある。その一方で、若手医師が自由診療の美容医療に引きつけられる事情もある。
美容医療の関係者は「医療現場はこの30年、医師や看護師の待遇がほとんど変わっていない。結局は、やりがい搾取。保険診療に魅力が無いのが一番の問題だ」と話す。
そして、コロナ禍がとどめをさしたという。「これまで頑張ってきた上に、コロナの診療をさらにボランタリー(自発的)にやれ、ということになった。そこから転職者が増えた」
2024年12月11日
直美 臨床研修後、直接美容医療界へ――若手医師が流出
posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 18:17| フランクフルト ☁| Comment(0)
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