2019年11月08日

グリペックR


きょうの午後 豊胸手術のカウンセリングにジョニのもとを訪ねてきたのは 25歳保育士

透き通るような白い肌 貧血気味の顔色 大きな目 身長は162cm

まあまあの容姿 きちんとメークし 盛ったら 美人さんだろう


彼女の乳房の 正面 側面の撮像を終えて 診察室へと呼び込まれた

BカップからEカップへサイズアップの希望だ


まず ジョニから患者さんへ訊くこと


いままで大きな病気をしたことはないか 投薬でのアレルギーはなかったか

通常は どーでもいいルーティンの質問なのだが 今回は違った


彼女は 『CML でした』 と ぼそっと話す

素人が 業界の略語を用いるのは珍しい

これ 慢性骨髄性白血病のこと

現在は完治という

完治というのは 5年以上再発していない ということだろう

彼女のエピソードを聞いて ジョニの亡き友 同級生の男性Tさんを思い出した


彼は 彼女と同じCML 慢性骨髄性白血病 で 亡くなっている


同じゴルフ部仲間でもあり いかにも垢抜けた、シティボーイだった

彼が慢性骨髄性白血病を発症、慢性期だったのが大学4年のとき


それから4年で還らぬ人になってしまった

2003年まで もし彼が慢性期で生存できていたら 彼が生還できた確率は80%以上だったろう


それほど 2003年、分子標的薬 グリペックRの登場はそれまでの血液腫瘍の常識を根底から覆す、新薬だった

タレントの吉井怜もこの病気から生還


病気はちょっと違うけど渡辺謙 もAML急性骨髄性白血病を1989年に発症するも 現在は完治

医学の進歩は恐ろしいほどだ


いつの時代に生まれたか で いまは寿命がぜんぜん違ってくる

ずいぶん不公平だな って思う




(引用)




グリベック(一般名イマチ二ブ)は、抗がん剤で分子標的治療薬の一つ
日本では2003年に登場

GISTで細胞の増殖に関与するチロシンキナーゼ(KITなど)という分子が異常に活性化、グリベック*は、このGIST細胞の増殖を促しているところを抑える作用がある

GISTで初めての内科的治療に使う分子標的治療薬として、しました。当初、腫瘍が進行していて手術ができない患者さんや、手術で腫瘍を完全に摘出した後に、GISTが再発した患者さんに腫瘍の成長を抑えるためにグリベックが服用されてきた

今では手術で腫瘍を完全に摘出した後に、再発のリスクが高いと予測される(高リスク)患者さんにも補助的にグリベックが使用される
http://www.glivec.jp/glivecnavi/glivec/molecule.html


2002年4月から2006年4月の間にCML489人が登録されました
観察期間7年の長期成績としては、累積奏効率は細胞遺伝学的完全奏効98%、分子遺伝学的大奏効87%が得られ、7年生存率は93%と欧米の大規模試験と同等以上の成績

https://www.jalsg.jp/treatment-results/chronic-myelogenous.html
posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 17:13| フランクフルト | Comment(2) | 医学・生理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさに最近感じていたことなので、大変興味深く読ませていただきました。
話題の書「ホモデウス」にも、再生医療が実用化されることで人間は永遠の命に着実に近づくということが書かれており、習近平とか一部のスーパー資本家たちがホモサピエンスからホモデウスへとアップグレードするだろう、というシナリオが語られています。
今後は時代だけでなく、資産による命の不平等が広がりそうですね。
Posted by グロテック at 2019年11月12日 16:05
先生、当事者の女の子がこのブログ見たらセンセの正体モロバレになるのでは?それともそれほど正体バレ気にしてないのですか?
Posted by at 2019年11月16日 16:25
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