2024年12月11日

直美 臨床研修後、直接美容医療界へ――若手医師が流出

■臨床研修後、直接美容医療界へ――若手医師が流出 朝日新聞 時々刻々より

 美容医療のトラブルが相次ぐ一方、医療界では、医師不足にもかかわらず、美容医療に進む若手医師が増えている人材流出の問題に直面している。今や、診療所(クリニック)に勤務する美容外科医の半数は、20〜30代の医師だ。

 「美容業界はいずれ飽和すると思い、ここまで人数が増えるとは思わなかった」。日本形成外科学会理事長の慶応大教授はこう話す。特に想定外だったのが、「直美(ちょくび)」の増加だ。

 直美とは、医学部を卒業し、2年間の臨床研修を終えて間もない駆け出しの医師が、美容医療に進むことを指す。
 開業医が主に所属する日本美容外科学会(JSAS)の資料によると、2014年に400人弱だった正会員数は、24年に1600人を超した。最近では新規入会者の3人に1人が直美だ。

入局後数カ月で慶応大の医局を辞め、堂々と経歴に「慶応大学で研修」などと書く美容外科医も少数ながらおり、「肩書に利用されている」となげく。

形成外科は、傷の修復やがん治療後の乳房再建、上のまぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂の治療などをするため、美容外科手術の基盤となっている。

「本当に安全安心の美容外科を行いたいなら、形成外科の専門医を取得する必要がある。どうやって傷が治るのか、どのように皮膚に栄養が届くのか、原理を知らないと合併症を起こす。合併症やその対応については、本だけ読んで身につくものではない」と指摘するが、風向きが変わる様子はない。

1989年に共立美容外科を開業した久次米秋人理事長は「美容外科のステータスはすごい低かった」と振り返る。

状況が変わり始めたのは20年ほど前だ。手軽に二重まぶたにできるようになり、レーザー脱毛や美容成分の注射といった施術が登場し、外科の経験がない医師も参入しやすくなった。「プチ整形」という言葉も広がり、今ではSNSで美容医療を受けたことを明かす人も増えている。

 直美の急増は、膨れあがる美容医療の需要が背景にある。その一方で、若手医師が自由診療の美容医療に引きつけられる事情もある。

 美容医療の関係者は「医療現場はこの30年、医師や看護師の待遇がほとんど変わっていない。結局は、やりがい搾取。保険診療に魅力が無いのが一番の問題だ」と話す。

 そして、コロナ禍がとどめをさしたという。「これまで頑張ってきた上に、コロナの診療をさらにボランタリー(自発的)にやれ、ということになった。そこから転職者が増えた」
posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 18:17| フランクフルト ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外出張・ステイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美容医療、トラブル急増 診察一瞬だった二重手術、腫れ引かず別の病院へ「甘く見ていた」3




 ■安い広告、実は高額「二重価格」常態化
 後遺症や合併症に対する対応が不十分な美容クリニックの存在は、厚労省の調査でも明らかとなっている。施術トラブルに対応するためのマニュアルや研修がないと回答した美容クリニックが3割を超えている。

 契約上のトラブルも多く報告され、契約解除や返金に応じてもらえなかったり、収入に見合わない医療ローンを組まされたりしている。また、安い価格の広告を出し、実際は医師でもない「カウンセラー」などが、言葉巧みに利用者1人あたりの単価を上げているケースが多い。
 「ぼったくらないと無理なんですよ」と、ある美容医療の関係者は話す。

 雇われている医師の多くに年2千万円以上のお金が支払われている。一方、美容医療の需要が増えているとはいえ、人件費をまかなえるほど、利用者が劇的に増えているわけではない。競争もあり、広告では値段を下げておいて、実際には高額をとる「二重価格」が常態化しているという。
 ■厚労省、初の規制へ
 こうした状況を受け、厚労省は美容医療に特化した規制に初めて乗り出す。厚労省は6月から専門家検討会を開き、11月、美容医療を提供する医療機関に年1回の報告を求めることや、関連団体に後遺症への対応などに関する指針をつくらせる方針をとりまとめた。

 医師法上、医師が診察をした際にはカルテに訴えや治療などを記載し、5年間は保存することが義務づけられている。
 だが、美容医療界ではこの義務が必ずしも守られておらず、11月の検討会では「記載の徹底を義務づけないといけない」などと対応を求める意見が出た。

 「病名がつかないからカルテが書けない」といった逃げ道を作らせないよう、厚労省では美容医療独自のカルテの書式を示すことなども含め、対応を検討中だ。(続く)
 
posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 18:09| フランクフルト ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アイドル・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美容医療、トラブル急増 診察一瞬だった二重手術、腫れ引かず別の病院へ「甘く見ていた」2


 術後、まぶたは思っていた以上に激しく腫れた。2週間ほど経った時点で、目やにやまぶしさがあり、風が目に当たると痛んだ。
 状態が良くならず、1カ月後、クリニックに電話して診察を求めた。術後の診察はこれが初めてだった。院長は、手術台に座って待つ女性を部屋の入り口に立って見るなり「ああ、大丈夫」と口にした。

 近くで見ずに分かるのかと不審に思い、「見てないですよね」と言うと、「見てますよ」「(目の腫れは)意識しすぎ」などと声を荒らげた。
 不信感が募り、女性はその後、ネットで調べた美容医療の相談窓口に藤田医科大学ばんたね病院(名古屋市中川区)を紹介された。
昨年9月に受診し、結局、まぶたを大きく切って全ての糸を取り除き、同時に改めて眼瞼下垂の手術をすることになった。

 美容医療は自由診療のため、その後に後遺症などの治療が必要になっても、同様に自由診療として全額自己負担となるのが原則だ。女性はばんたね病院での再手術でも、約35万円の費用全額を負担することになった。再手術後、症状は落ち着き、見た目も満足いくものになったという。
 「(埋没法は)切らないから、と甘く見ていた」と女性は後悔する。「今になって思うと、手術内容がカウンセラーとの話で決まったり、医師の診察が一瞬だったり、おかしいと感じるタイミングはいくつもあった。そこでやめていたら」

 再手術をした同院の犬飼麻妃医師によると、ばんたね病院で昨年4月に開設した美容外科には、術後に感染を起こしたり、「思っていた仕上がりと違う」「ずっと痛い」といったトラブルを訴えたりする人が受診している。「元のクリニックに相談したが対応してもらえない」という人も多いという。(続く)
posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 18:07| フランクフルト ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 美容外科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美容医療、トラブル急増 診察一瞬だった二重手術、腫れ引かず別の病院へ「甘く見ていた」1




美容医療、トラブル急増 診察一瞬だった二重手術、腫れ引かず別の病院へ「甘く見ていた
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16096766.html

 施術や契約に関する美容医療のトラブル増加を受け、厚生労働省は安全管理などに関する年1回の報告を美容医療界に求める報告書をまとめた。トラブル相談はこの数年で急増し、その一方で、医師になって間もない若手が美容医療に流出する事態も問題視されている。(足立菜摘、後藤一也)

 昨年5月、名古屋市の会社役員の女性(49)は、名古屋駅近くの大手の美容外科クリニックを訪れた。「埋没法」という、まぶたを切らずに糸で留めて二重(ふたえ)にする手術を受けるのが目的だった。
 クリニックに着くと、医師ではない若い女性の「カウンセラー」が施術の希望を聞き取った。「なるべく糸がとれず、腫れが少ない方法で」と伝えると、埋没法で最も高額な30万円以上のコースを提示された。

 また、まぶたが下がってきたと相談すると「眼瞼(がんけん)下垂かも」と言われ、埋没法に加えて眼瞼下垂の手術も契約することを勧められた。金額は10万円ほど追加されるが、「とにかく目立たず、仕上がりもよくなるなら」と思い承諾した。

 当日の院長の手術を希望し、カウンセリングは10〜15分で終わった。会計は約45万円。支払いを済ませて数時間待ち、院長の診察を受けた。
 診察は一瞬だった。女性に対して何か希望を聞くこともなく、二重にする位置だけを「こうだね」と確認して終わった。手術するその位置に印を付けられることもなく、「えっ」とひっかかりを覚えた。



posted by 美容外科医ジョニー Plastic Surgeon Johnny at 17:59| フランクフルト ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 美容外科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする